スチュワードとして、繁殖者の家に育った者として思うこと
2026年3月21日・22日、東京ビッグサイトで開催された
JKCサクラ・アニュアル・ショー2026が終了しました。
年に一度の本部展。
やはり自分にとっては、特別な場所です。
今回は2年ぶりに、スチュワードとして参加させていただきました。
終わってみれば、喉は痛いし、声も枯れている。
それでも毎年、このショーが終わるたびに思います。
やっぱり、また来たい。
ご参加の皆様、本当にお疲れ様でした。
どうぞお気をつけてお帰りください。
年に一度の「お祭り」のような本部展
地方で行われる展覧会、連合会展、インターナショナルドッグショー。
それぞれに意味があり、それぞれに役割があります。
その中でも、本部展はやはり少し特別です。
犬も、人も、空気も違う。
緊張感もあるし、華やかさもある。
一年に一度、全国から犬と人が集まり、
それぞれの立場でこの世界に向き合っている。
出陳する人。
応援する人。
見学する人。
審査する人。
運営する人。
その全部が重なって、あの場ができているのだと思います。
だから自分にとって本部展は、
年に一度のお祭りのような存在です。
ただ賑やかで楽しいだけではなく、
それぞれが積み重ねてきたものを持ち寄る場。
そんな意味での「お祭り」だと感じています。
スチュワードは、近くで見ているようで見物ではない
今回、2年ぶりにスチュワードとして会場に入りました。
スチュワードの仕事は、華やかに見える役ではないと思います。
実際には、進行、確認、連携、誘導、声出し、気配り。
その場を止めないために動き続ける役目です。
だから、ショーを一番近くで見ているようでいて、
ただ「見ている」わけではありません。
常に次を考えながら、
今起きていることを整理し、
人と犬が安全に、円滑に、その場を進められるよう支える。
それがスチュワードの仕事です。
その分、終わると毎回身体にきます。
喉も痛いし、声も枯れる。
でもそれも含めて、
「ああ、今年も本部展にいたな」と思える感覚でもあります。
「解説はありませんか?」という声
今年、印象に残ったことがありました。
会場で一般の方から、
「解説などはありませんか?」
と声をかけていただくことが何度かありました。
赤いジャケットを着ていたので目立ったのかもしれません。
話しかけやすかったのかもしれません。
でもそれ以上に感じたのは、
一般の方からすると、ドッグショーは何をしているのか分かりにくい
ということでした。
確かに、ただリングを見ているだけでは、
- 何を基準に見ているのか
- なぜ並ばせているのか
- なぜ走っているのか
- なぜこの犬が上に来るのか
こういったことは伝わりにくいと思います。
時間に余裕があれば、簡単な説明はできる。
でも現実には、進行中のスチュワードにはその余裕がありません。
休憩時間はあっても、審査が止まっている時間です。
見ている方が本当に知りたいのは、
むしろ進行しているその瞬間の意味なんですよね。
ドッグショーをもっと一般の方にも伝わる形にしていくこと。
これは今後、とても大事なことだと改めて感じました。
一番近くで見ているのに、写真も動画も残らない
毎回少し残念に思うことがあります。
スチュワードは職務中、スマホ禁止です。
当然のことですし、それでいいと思っています。
でもその一方で、自分は毎回、
一番近い場所でドッグショーを見ているのに、
手元には写真も動画も何も残らない
という立場でもあります。
「あ、この瞬間を撮りたい」
と思うことは本当にたくさんあります。
犬の立ち姿。
走り。
リングの空気。
人の表情。
会場の雰囲気。
でも、それは記録として残せません。
ただ最近は、それでいいのかもしれないとも思います。
写真や動画としては残らなくても、
自分の中には残っているものがあるからです。
その場の空気。
犬たちの気配。
緊張感。
会場の熱。
その瞬間にしか受け取れないもの。
毎年そういうものを受け取り続けてきたこと自体が、
自分にとって大きな財産なのだと思います。
もう一度、自分の繁殖犬でメインリングに立ちたい
この歳になって、本部展が終わるたびに
以前よりも強く思うことがあります。
生きているうちに、もう一度、自分の繁殖犬でメインリングに立ちたい。
今度はスチュワードとしてではなく、
出陳者として。
ありがたいことに、自分はスチュワードとして
メインリングを2度経験させていただきました。
だからこそ次は、別の立場で立ってみたい。
自分の繁殖犬とともに、あの場所に戻りたい。
そう思う気持ちが、年々強くなっています。
もちろん、簡単なことではありません。
犬を作ること。
育てること。
整えること。
出すこと。
どれも片手間ではできません。
時間も、体力も、環境も必要です。
現実にはいろいろ大変なことも多い。
正直、簡単ではないです。
それでも、やはり思います。
もう一度、出陳者としてあの場所に立ちたい。
スチュワード歴29年の今、思うこと
2026年の本部展を終えて、
今年でスチュワード歴29年になりました。
九州ブロックスチュワード委員会の委員長として。
そして、アメリカンコッカースパニエル繁殖者の家に育った者として。
改めて考えています。
これから自分に何ができるのか。
いろいろな方たちから、犬たちから預かったものを、
どう残して、どう繋いでいけるのか。
長くこの世界にいると、
自分ひとりでここまで来たわけではないことを強く感じます。
教えてもらったこと。
見せてもらったこと。
助けてもらったこと。
犬たちから学ばせてもらったこと。
失敗しながら覚えてきたこと。
そういうものの積み重ねの上に、今の自分があります。
恩返しは、次へ渡していくこと
最近よく考えるのは、
恩返しとは何だろうということです。
昔を懐かしむことでもなく、
「昔はよかった」と言うことでもなく、
受け取ったものを、自分の代で止めずに次へ渡していくこと。
それが恩返しなのではないかと思っています。
教わってきたこと。
見せてもらったこと。
犬たちから受け取ったこと。
それを今の時代に合う形で整理し、
次の人へ渡していく。
経験を言葉にすること。
現場を伝えること。
犬種を語ること。
ドッグショーの意味を伝えること。
それが今の自分にできることなのかもしれません。
まだ、できることはある
本部展が終わるたび、疲れます。
身体にもきます。
年齢も感じます。
でも、それでも毎年、何かを受け取って帰ってきます。
今年もまた、そうでした。
まだ、できることはある。
まだ、渡せるものはある。
まだ、自分の役目は終わっていない。
そう思えた、2026年のサクラ・アニュアル・ショーでした。
ご参加の皆様、関係者の皆様、
本当にお疲れ様でした。
そして、ありがとうございました。